赤身の魚なのに、モチモチと吸い付くような食感。晩夏のこの時期にだけ、高知で話題を集める魚がある。
メジカ。濃厚なだしが出る宗田節(カツオ節)の原料となる「マルソウダガツオ」の別名だ。両目が口先に近く寄っていて「目近」から「メジカ」と呼ばれるらしい。
鮮度落ちるのが早い
特に、生後1年未満の幼魚は「新子(しんこ)」と呼ばれ、珍重される。口に含むと吸い付くほどの弾力が、魚の味にはうるさい土佐っ子をうならせてきた。
メジカにありつけるのは、お盆前後から9月末ごろまで。しかし、鮮度が落ちるのが早く、市場に出回ることはあまりない。刺し身を味わえるのは、高知県内でも一部の港町だけという「幻の味」なのだ。
「やっと出始めましたよ!」
8月20日過ぎ、高知県中土佐町で明治期から続く「久礼大正町市場」の久竹庸代さんの声が弾んでいた。今年は出回るのが遅く、心配していた。
「明日、行きますね」
昼までに食べろ
記者の声も弾んだ。
朝9時50分。久礼港に漁船…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル